卯兎明朝(うさうさ みんちょう)
国際標準規格文字コード ISO/IEC 10646で利用できる7万5千漢字の中から2011年の干支である「卯(兎)」およびその関連字・類似字を部品として含む漢字だけを集めたフリーフォントです。全部で361漢字+αを含む明朝体フォントです。

ダウンロード
- usa2011.ttf(218,100 bytes)
- 収録字種リスト(PDF形式)
ライセンスなど
このフォントはGlyphWikiを利用して作られたものです。フォントのライセンスは花園フォントに準じます。自由にご利用いただけますが、完全に無保証です。
謝辞
このフォントはGlyphWikiに参加してグリフの作成を手伝っていただいたユーザー・匿名の皆様のお力によって完成することができました。誠にありがとうございました。
(以下golconda氏によるコラム)
ニセ兔に注意!
説文によれば、実は「うさぎ」(卯)の中には、「とり」(酉)の偽装したものが含まれています。
卯(うさぎ)と酉(とり)について
「卯」(うさぎ)は、もともと「戼」(音はバウ・マウ)が変化してできたものです。一方、「酉」は「丣」(音はイウ・ユ)が変化したものです。
古代中国の十干十二支では、紀年を表すこれらの文字は、動物とはまったく関係ありませんでした。 後年の人が、覚えやすくするために卯や酉に「うさぎ」や「とり」等の動物を割り当てたといわれています。
「戼」(バウ・マウ)の仲間
「戼」を音に持つ漢字は、説文等によれば、「𣆻、𥥺、𦯆、𧶻、𩜕」です。これらの楷書体は、「昴、貿、𩛁(飽)」となります。
「丣」(イウ・ユ)の仲間
「丣」を音にもつ漢字は、説文等によれば、「𤥗、桺、畱、駵、䱖、𦊿、𦕼、𨦰、𪕚/𪕢、𨌡」があります。 これらは、楷書になると、「珋、柳、留、駠、聊、鉚、𪕋、𨋖」のように、「丣」が「卯」となります。ニセ兔の登場です。
すなわち、上記を楷書化した文字の右側は、本来の「卯」の由来ではないことになります。
白川静の説
実は、「𤥗、桺、畱、駵、䱖、𦊿、𦕼、𨦰、𪕚/𪕢、𨌡」の多くは、「イウ・ユ」ではなく、「リウ・ル」という発音を持ちます。 説文では、「イウ・ユ」と「リウ・ル」は相通じる音とされ、大漢和辞典もそれを踏襲していますが、白川氏は、「リウ」という発音を持つ漢字は、「丣」ではなく「畱」の省略形であり、「丣」(イウ)と「畱」(リウ)は無関係であるという説を唱えています。
例えば、「𤥗」は「璢」、「桺」は「橊」、「駵」は「驑」、「䱖」は「鰡」、「𨦰」は「鐂」、「𪕚」は「䶉」の省略形という主張です。 ただし、必ずしもこの説が定説となったわけではありません。
なお、「駵」は「驑」からきている、という説は、中国でも古くから言われていました。しかし段玉裁は、この説は誤りだとしています。(篆體作驑。大誤。今依五經文字、玉篇、廣韵正。)
また、これらの文字の字源については、他の説を唱えている学者もいます。
「丣」(とり)と「戼」(うさぎ)のあいのこ達
「𥥺・𥥹」、「𦯆・𦯄」、「𧶻・𧶝」は、「丣・戼」の両方の部品を持ちます。
「𥥺・𥥹」と「𦯆・𦯄」は、楷書では両方とも「窌」や「茆」となります。なお、「𧶝」は「貿」の本字「𧶻」の単なる異体字です。
また、「泖」は、バウ(湖名)・リウ(水の様子)の両方の音と意味を持ちます。「𨌡」の右側は大漢和辞典では「丣」ですが、UCSでは「戼」となっています。音からすれば「丣」の方が正しく、UCSの文字は字形の間違いと思われます。
段注にて「うさぎ」から「とり」に変わった「奅」
「奅」という漢字の篆書は、従来の「説文」では「戼」という形になっています。しかし段玉裁は、「各本作卯聲。今正。按漢書與𥥹通用。其字當力救切。古音在三部。譌从卯。乃匹皃切矣。」(段注本)とし、「奅」の篆書を「丣」の形に改めました。Unicode/UCSもまた、「奅」の篆書として、「𡘣」を符号化しています。
最後に、上に出てきた漢字と、関連漢字、説文にある文字を一覧にまとめてみました。
| 卯 | 戼 | 丣 | 𫝁 | ※ | 留 | 畱 |
| 奅 | 𡘣 | |||||
| 昴 | 𣆻 | 𣇅 | ||||
| 柳 | 桺 | 𫞉 | 榴 | 橊 | ||
| 泖 | 溜 | 澑 | ||||
| 瀏 | 𤄉 | |||||
| 珋 | 𤥗 | 瑠 | 璢 | |||
| 留 | 畱 | 〓 | 〓 | |||
| 窌 | 𥥺 | 𥥹 | 𥧥 | 𥨌 | ||
| 聊 | 𦕼 | 𦖂 | ||||
| 𦊑 | 𦊿 | 罶 | 羀 | |||
| 䉧 | 𥷢 | |||||
| 茆 | 𦯆 | 𦯄 | 𦮉 | 蒥 | ||
| 貿 | 𧶻 | 𧶝 | ||||
| 鉚 | 𨦰 | 鎦 | 鐂 | |||
| 劉 | ||||||
| 𨋖 | 𨌡 | |||||
| 𩂞 | 霤 | 𩅸 | ||||
| 駠 | 駵 | 𩤷 | 騮 | 驑 | ||
| 𩛁 | 𩜕 | |||||
| 飹 | 餾 | 𩞷 | ||||
| 𫚵 | 鶹 | 𪅳 | ||||
| 䱖 | 鰡 | |||||
| 𪕋 | 𪕚 | 䶉 | ||||
| 𪕢 |
謎のウサギ「㲋」について
「讒」の右側、「毚」の上の部分「㲋」について、説文は「兎に似て、青くて大きく、ウサギの頭と鹿の足を持つ生き物」と述べています。果たして古代中国に本当にそんな生き物はいたのでしょうか?この「㲋」は、山海経(中山経)の記述にも見られますので、その実在性は...(汗)
白川静は「毚」について「一兔が超躍して一兔をこえるともみえ、また兔の習性として一隅に寄りそって、竄(かく)れのがれようとする姿ともみえる。」、すなわち「㲋」はウサギが跳ねようとしている形だととらえています。だとすればこの文字も立派に「兔」ファミリーの仲間入りかもしれません。たとえば「𣬕」や「𣬎」がこの仲間になります。
「毚」について
この「毚」という文字、かなり使用頻度が高いのにも関わらず(なんと40近い部首…「儳劖嚵巉攙欃瀺纔艬讒酁鑱饞㜶㸥㺥䂁䧯䪌𠣄嚵𡓦𡤎𡮿𢖞𢥋𢩢𣤱𤒰𤜇𤮭𦣸𦧻𧕃𧥓𨇩𨳂𩖌𩰃𩽝𪓄𪗂𪚃」で使われています)、文字が非常に複雑で、書くのが難しい文字です。 「毚」という文字の形を覚えきれないために、とりあえず「免」を2つ並べる文字が、俗字として使われました。さらにこれが発展して、「免」の下に重複を表す「⺀」を並べる俗字も使われました。UCSで符号化された、「毚」を持つ漢字を同部首の俗字で並べると以下のようになります。
| その他 | |||
| 儳 | 𠋂 | 𠍈 | |
| 劖 | 𠠤𠠥 | ||
| 嚵 | 𡁅 | ||
| 巉 | 𡽡 | 𡺎 | |
| 攙 | 搀 | ||
| 欃 | 𣝊 | ||
| 瀺 | 𤀧 | 𪶳 | |
| 纔 | 𦆵 | 𦂯 | |
| 讒 | 䜛 | 谗 | |
| 酁 | 𨞭 | ||
| 鑱 | 镵 | ||
| 饞 | 𩟖 | 𩝎 | 馋 |
| 䧯 | 𨽊 | ||
| 嚵 | 𡅛 | ||
| 𤒰 | 𤑑 | ||
| 𦣸 | 𥃢 | ||
| 𧕃 | 𧓰 | ||
| 𧥓 | 𧥒 | ||
| 𩰃 | 𩯯 | ||
| 𩽝 | 𩺒 | 𫙭 |
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